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2−4 入退室扉

 「地震で扉が開かなくなる」という事実は広く知られているところではあったが、阪神・淡路大震災におけるコンピュータ関連施設においても発生している。
 建屋の歪みなどによって「入退室用の扉が開かなくなる」、「扉が不完全施錠されてしまう」等のトラフルが生じたところがあった。このような場合、「扉や窓を壊して入室する」、「正規の出入り口ではなく、帳票類の搬出入口から入る」等の措置をとることになった。

2−5 パーティション

 フロア内の広い区画をパーティションで区切ってマシン室と事務室とを分けている地方公共団体では、そのパーティションに破損が生じたところがある。特に、パーティションにガラスがはめ込まれている場合には、パーティションの破損にともなってガラス片が飛散した例もあった。阪神・淡路大震災においては、執務時間外に地震が発生し、マシン室、事務室のどちらにも人がいなかったため直接傷害などにはつながらなかったが、対策上一考を要する点であろう。

第3節 ホストコンピュータ

3−1 ホストコンピュータ自体の被害

 ホストコンピュータ自体については、転倒、傾斜、横ずれ等を起こした装置が多かったが、多くの場合、装置自体に被害は少なかった。中には修復不能になったものもあったが、多くは筐体の傷・一部破損、チャネルなどの取替可能な部品レベルの破損にとどまり、短時間の修理で継続使用可能となった。これは阪神・淡路大震災に関する限り、地方公共団体に限らず、全般的な傾向だとみられる。(日経コンピュータ95年3月20日号『特別レポート阪神大震災の現場から』、日経情報ストラテジー95年10月号『阪神大震災・1000社調査で明らかになった情報システムの被害、復旧、安全対策の実態』)

3−2 施股の崩壊によるホストコンピュータの被害

 今回調査した範囲では地方公共団榊こは無かったが、建物自体あるいはマシン室が崩壊して、実質的にホストコンピュータが使えなくなった事例もある。このような場合、バックアップセンターのサービスを利用して本番業務を移行した企業、自社の他センターを利用した企業、業務をホストからワークステーションに移行した企業などがあった。いずれも、データの輸送、オペレータの移動などで復旧までに時間を要することになった。

 

 

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